和紙へのスクリーン印刷:素材の特性と対応方法
和紙へのスクリーン印刷は、洋紙とは異なる調整が必要です。繊維の粗さ、吸水速度、紙の厚みのばらつきが、印刷の精度に影響します。Velvet Sundialでは2026年秋から越前和紙への印刷を正式メニューに加えましたが、そこに至るまでに夏の間、試行錯誤を重ねました。
和紙の繊維構造が印刷に与える影響
洋紙は繊維が均一に並んでいるため、インクの吸収速度が面全体で安定しています。和紙は繊維が不規則に絡み合っており、場所によって吸収速度が異なります。この不均一さが、スクリーン印刷では版詰まりや印刷ムラの原因になります。
また、和紙の表面は洋紙より凹凸があります。版と紙の接触が均一でないと、インクの転写量にばらつきが出ます。
スキージの硬度と刷り速度の調整
Velvet Sundialでの試行錯誤の結果、スキージの硬度を70度から60度に落とすことで、版と紙の接触面が均一になりました。柔らかめのスキージは版のたわみに追従しやすく、凹凸のある和紙の表面でも安定したインク転写ができます。
刷り速度は通常の7割程度に落としています。ゆっくり刷ることで、インクが繊維に浸透する時間が確保され、転写量が安定します。
テスト刷りの重要性
和紙は同じ種類でも、ロットによって繊維の密度や厚みが異なることがあります。このため、初回の制作では必ずテスト刷りを行い、お客様に確認していただいてから本刷りに進みます。
テスト刷りは2〜3枚程度で、インクの乗り方と色の出方を確認します。和紙の色(白・生成り・薄茶)によってもインクの発色が変わるため、この確認は省略できません。
和紙へのスクリーン印刷は手間がかかりますが、仕上がりの質感は洋紙とは別の魅力があります。ギャラリー用のポスターや年末の挨拶状など、特別な用途に向いています。